その遠回りが後の美談になる

先日、2つ年下の友人から相談を受けました。

その内容は、勤めている会社の退職を考えているものの、これからどうしようかというものでした。

入社当初からの彼を知っていますが、就職をしたのは誰でも一度は聞いたことがある様な大手不動産会社でした。そこで厳しい営業の世界を知り、気がつけば同期の社員もいなくなり、給与も入社当初からかなり減額をされたそう。

今までにも度々相談を受けてはいたものの、話だけ聞いていれば、もっと早くに辞めてもおかしくはないと思っていました。不動産という世界で新しい道を模索して、今年から仕事の合間に「宅建士」の勉強を始めていた彼ですが、大手企業に勤めているというプライドや家族や友人への見栄もあって、中々退職に踏み切れなかったといいます。

単に、大手企業に勤めている営業マンと聞けば、華やかなイメージを持ちますし、所謂「勝ち組」のようにも思えます。一方で、実際には営業成績が悪く、毎日叱責をされては給与も減額されてしまうという現実。理想と現実の乖離が更に彼を苦しめていたのだろうと思います。

「これからどうしようか」

退職するにしても、すぐに何かが出来る訳ではないし、周りに後れを取りたくない。まさに1歩進んで2歩下がるような感覚だったのでしょう。

そんな彼に、「生活できる程度にゆっくりアルバイトでもしながら、まずは全力で資格を取りなよ」と伝えました。

大手企業をドロップアウトして、ゆっくりアルバイトをしながらなんて、焦っている彼からすれば納得のいく選択ではないでしょう。ですが、夢を叶えた人が皆、ノンストップで頂点まで駆け上がった訳ではありません。

ときに足踏みをして、遠回りをして、だけど、それを糧にしてまた歩き出して、そういったことを繰り返して少しずつ進むものだと思っています。

周りへの目を気にして、中途採用で再就職をしたところで、資格を取るための勉強と新しい仕事の両立に苦しむのは目に見えています。そして、万が一資格を取得できなかったら、また遠ざかってしまう。大手企業をドロップアウトした意味も、再就職した意味もなくなってしまう。

見栄やプライドが必要なときもあるけれど、それはプラスに作用するときだけ。

たどり着いたころには、足踏みした時間も、遠回りした経験もきっと美談です。
今後も、彼が夢に向かって走る姿を見守っていきたいと思います。

この記事を書いた人

M.Sugimoto

artbizのサービスチーフ。幾多のアルバイト武者修行の経験があり、話題をふれば「あー、あの業界はですね」と現場の裏側を大体知っている。次から次へとやってくる業務に押しつぶされそうになりながらも、日々artbizのサービスとお客様対応の品質向上に熱意を注いでいる。NBA(プロバスケ)観戦が趣味と。