各地に甚大な被害をもたらした今年の台風19号。堤防が決壊し、多くの土地で浸水の被害が出ました。
地球の温暖化に伴い、日本も来年以降ますます巨大化した台風に襲われることは必至で、明日の我が身と自分を守る対策をしなければなりません。
そこで、
1.洪水マップ
世界の海面上昇をシュミレーションできるサイトです。
試しに海抜「+9m」で設定してみます。
東北地方の太平洋側、宮城県仙台市、名取市、千葉県九十九里浜と、2011年の東日本大震災で津波による被害を受けた地域にくっきり重なります。
東京湾に目を向けますと、同じく東日本大震災で液状化現象の激しかった京浜工業地帯~京葉工業地域にかけての臨海部、そして東京東部、山の手と下町の境がはっきり現れます。昔の海だったエリアですね。
今年のお正月にNHKドラマで『家康、江戸を建てる』というドラマが放送されましたが、湿地の江戸一帯を見て、家康が「これからどのように土地を開拓するか」と途方にくれる場面が描かれていました。
東京都足立区という地名がありますが、足立は「葦立」で、水辺に葦(アシ)がたくさん生い茂っていたことが語源となっています。つまり湿地帯を表す地名ですね。
同じ地図で大阪府に目を向けますと、北の大阪城から南の高級住宅地・帝塚山を結ぶ半島が出現します。これが「上町台地」です。古代は海運に便利な上町台地が交易の拠点となり、それが大阪の発展の礎となった。江戸時代に諸藩の蔵屋敷が建ち、現在でも食いだおれの街として全国から美味しい食べ物が集まってくるのは、この上町台地が海運に便利な場所だったことがルーツです。
古墳が数多く遺されている大阪ですが、松原市から堺市方面に向けて、地図上で水没していないエリアが古墳のある地域です。
2.今昔マップ
現在の国土地理院の地図と、1892年の古地図を左右連動して対比できる、凄腕の地図です。先ほどの海抜地図からより詳細に、どの地帯が明治時代に海または湿地、川であったかが確認できます。
お住まいの地域を見てみましょう。明治時代に川だった場所が埋め立てられて住宅地になっていませんか?
東京都江東区に都営地下鉄新宿線の森下という駅があります。この近くに「Y」の形をした住宅区画がありますが、明治時代は運河です。運河を埋め立てて、現在人が住んでいるのです。地震のときは、他の区画に比べてこのゾーンだけ極端に揺れが大きいでしょう。
弊社のある熊本市南区近見に旧鹿児島街道があり、まさに弊社の裏手を通る道路ですが、そこは明治時代で既に道路となっていますが、昔は白川という主要な河川が流れており、河川改修により埋め立てられて道路となりましたが、川の跡地です。
2016年の熊本地震では、その旧鹿児島街道沿いで液状化現象が酷く、電柱が地中に潜り込んだり、多くの住宅が傾いたり塀が崩れる被害を受けました。それは、旧河道で地盤が緩かったからなのです。
http://www.ajg.or.jp/disaster/files/201604_kumamoto011.pdf
さて、
このようにその土地ごとに歴史があり、大きく見て古代に陸地だったか、海だったか。細かく見て、川だったか湿地だったか。そういった土地の履歴を見ると、水に関係する経歴をもつ土地は、水害を受けやすい地域であることがよく分かります。
すなわち、津波・高潮・洪水の被害から逃れるには、事前に自分自身でその検証が出来るということなのです。
その上で
お住まいの自治体が発行しているハザードマップと照らし合わせれば、そのハザードマップにきちんとした根拠のあることが理解できます。
3.ハザードマップポータルサイト
先祖や親から受け継いだ土地を手放すのは気が重い、と考える日本人の気質があります。簡単に他の土地に引っ越すことも容易ではありませんが、自分たちの土地の由来を知り、その土地に合った建物のつくり方、逃げ方といった自身や家族を守る方法は必ず事前に準備できます。
4.このまちアーカイブス
こういったサイトも、土地を知るうえで興味深いものです。