バイト道vol.2~教わる事、教える事

皆さんは、人に何かを教える事は得意ですか?
・・・私は、とても苦手なんです。

私が初めてこの壁にぶつかったのは、某大手カレー専門店で働いていた時のこと。

この仕事、私が初めて長く勤めたアルバイトでした。今思えば、当時10代だった私は、仕事に対して甘かったのだと思います。当然、自分ではそんなつもりはないのですが、当時の店長さんにはかなり厳しくされたと記憶しています。当時は何度も辞めてやろうと思いましたが、今では、すごく感謝をしています。

さて、その鬼店長さんから特に厳しく指摘を受けたのは、私より後に入ってきた後輩に対して「仕事を教える事」でした。

私は自分で言うのも何ですが、仕事だけではなく何事においても、ある程度覚えは早い方だと自負していました。実際に、色々と仕事をしてきた中で、この事を褒めて頂く機会は多かったのですが、

この「人に仕事を教える」という行為。これが、とてつもなく難しいのです。

私は、人に仕事を教える事にそこまでの重要性を感じていませんでした。

当然、私自身も誰かに教わりながら仕事を覚えましたが、1から10まで教えてもらった事はありませんでしたし、基本的なところだけ分かれば後は自分で考えたい。例えば職場によってはマニュアル等もありますし、わざわざ先輩に直接教えてもらうという事をほとんどしませんでした。全部を人に教えてもらっては面白くないからです。

そんな私には、人に対してどのように仕事を教えたらよいのか、という事がわかりませんでした。実際、私に教わりながら仕事を覚えようとしていた後輩は、今思えばとても私に気を遣っていた気がします。教える方が下手であれば、教わる方も大変なのでしょう。

ある時、仕事中に鬼店長に呼び出されました。

どうやら、私が仕事を教えた後輩がミスをしたそうです。その事について店長が後輩に「これは教わらなかったのか」と尋ねたそうですが、私は後輩に仕事を教える過程で、教えるべき必要な部分を飛ばしてしまっていたようです。

幸い、お客様に迷惑をかける事はなかったのですが、私は店長からとんでもない程に叱責を受けました。

そして、こう言われました。

「誰かに仕事を教えるという事は、その内容を完璧に把握してなければ出来ない事。お前も近いうちに必ず彼と同じミスをする。気づかせてくれた彼に感謝しなさい」

店長は、更にこう続けました。

「人に教える事で、改めて気づく事がたくさんある。成長するのは教わる方ではなく、教える方だ」と。

私は、自分が成長するチャンスをみすみす棒に振るどころか、後輩にミスをさせてしまっていたのです。

あれから10年近く経ちました。私は、今でも人に仕事を教える事が苦手です。しかし、また鬼店長に怒られた時のような目には遭いたくないですし、おかげさまで教える事の大切さについては理解するようになりました。

早くから社会に出た私にとって、大切な教訓です。

これは、仕事に限った話ではありません。勉強・スポーツ・趣味、全てにおいて誰かに何かを教えるとき、それはその分野で自分がさらに成長する為に必要な一歩になります。

私と同じように、誰かに何かを教える事が苦手だという人は「相手に教える事で、自分が成長できるのだ」という風に考えると、少しは気持ちが楽になるのではないでしょうか。

この記事を書いた人

M.Sugimoto

artbizのサービスチーフ。幾多のアルバイト武者修行の経験があり、話題をふれば「あー、あの業界はですね」と現場の裏側を大体知っている。次から次へとやってくる業務に押しつぶされそうになりながらも、日々artbizのサービスとお客様対応の品質向上に熱意を注いでいる。NBA(プロバスケ)観戦が趣味と。