意見を出させる方法

中世の武将、楠木正成(くすのき まさしげ)。
近頃刊行された「真説 楠木正成の生涯」(家村和幸・著、宝島社新書)のP.234から読んでみます。

—(抜粋ここから)
評定を加えるにも、一ヶ所に集まっての評定は、ほかの人に譲って思うことを云わずに口を閉じる者が多いので、事を書き付けて、議事を表題とし、これを老中一人ずつ全員に配布して、「隠密にこれを書いて提出してもらいたい。各人の意見を受け付けよう」と云ったのであった。

これによってそれぞれが自分の考えを書いて提出したならば、その人を呼び寄せ、心の内に思うことを聞いて、「正成の考えよりも勝っている。または、劣っている・・・」として、善いものを採用して自分の考えに加えて、事を成したので、誤りが少なかったのである。

また、一ヶ所に集まって評定するような時も、上座から一人ずつ云わせたのであった。このようにする利点は多くあった。老中の智恵を発揮させる。これが一つ。人が自ら好んで学ぶようになる。これが二つ。人が賢いか、愚かであるかが分かる。これが三つ。事をなすのに誤りが少ない。これが四つ。人に勇気があるか、臆病かが分かる。これが五つであり、これらをはじめとして数多の利得がある、とのことである。
—(抜粋ここまで)

部下から心おきなく意見を出させること、その環境をトップが整えることの大切さを痛感しますね。
まさに現代にも通用します。

この記事を書いた人

アートにゃんこ

2017年に突如生まれた謎の化け猫(?)「ゆるキャラグランプリ2020 ファイナル」に出場間に合わず。ゆるキャラの時代も終わっちまったぜ…。