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原文「君の明らかなる所以(ゆえん)の者は、兼聴(けんちょう)すればなり。その暗き所以の者は、偏信(へんしん)すればなり」
訳「名君の名君たるゆえんは、広く臣下の進言に耳を傾けることである。暗君の暗君たるゆえんは、お気に入りの臣下のことばだけしか信じないことである」
出典:「貞観政要」呉兢・編、守屋洋・訳(ちくま学芸文庫)
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上に立つリーダーの心得を説いた、『貞観政要(じょうがんせいよう)』という唐の時代の帝王学の教科書があります。北条政子や徳川家康、明治天皇も愛読されたそうです。
本章では、賢い君主(明君)と賢くない君主(暗君)のちがいについて述べています。
◎自分にとって心地よいことも耳の痛いことも公平に聞くことができるのが明君。
◎耳の痛い忠告には耳を傾けないのが暗君。
お山の大将になってしまうと、つい井の中の蛙になって他人の意見を受け止める謙虚さに欠けてしまったりします。
一瞬ムッとしてしまう内容でも、それが理にかなっている指摘であれば吸収できる謙虚さを持ちたいものです。