個人の価値観の多様化により、これまで「そんなこと常識だよ」と『常識』ということばで済んでいたことが「常識って何ですか?」と『常識』そのものが通用しなくなってきました。
例えば5時開始の授業に生徒が5時ちょうどに入ってきたら、それは遅刻です。
先生としては「遅刻じゃないか」とイライラする。生徒は「5時ちょうどだったら遅刻じゃないでしょ」と考えがかみ合いません。
正確に言うと、5時開始の授業は5時00分00秒に開始するという意味なので、5時ちょうどに生徒が入室してくるということは「5時00分27秒」もあり得るわけで、これは明らかに遅刻です。
先生としてはそういった理屈を踏まえて「5時開始」を認識しているから、とにかくイライラする。生徒の平然とした様子に更にイライラする、と悪循環になっていきます。
もちろん、生徒に「あのな、5時開始というのは5時00分00秒に授業が開始するという意味で・・・」と理論的に説明することも必要ですが、「5時ちょうどの入室は遅刻とみなす」のようにルールとして明文化することが大切です。
ルール化したら、必ず保護者・生徒に確認の署名をしてもらいましょう。
ASKULなど通信販売のサイトにログインするたびに、規約が変更になった旨を確認する画面が出てくることがありますよね。その規約を承認しないと、ショッピングに進めないという。
一般企業で導入しているのに学習塾では取り入れていない、ということは多くありますが、そのうちの一つはこのルール化です。
ルール化の目的は、先生の精神的負担を減らすこと。暗黙の了解ではなく明文化することで決まり事を例外なく適用できるようにすること。ひいては自塾の崩壊を防ぐことにも繋がります。
「遅刻だ!帰りなさい」と先生が怒ったとしても、生徒が「また先生の気分で言ってることが変わった」となってしまったら、先生側の負けです。国に法律があるように、さまざまな考えの人々が円滑に動けるように定めることが「ルール」の目的です。
尚、ルールは最低一年おきには必ず見直し、時代に合わない項目、入れるべき項目を随時チェックしてバージョンアップさせていきましょう。バージョンアップさせたら、保護者・生徒に承認してもらいます。日頃のコミュニケーションと信頼関係が塾と保護者・生徒のあいだで取れていれば、承認を取ることはそう難しくはありません。