書店でたまたま見つけた本ですが、興味深かった部分をピックアップしてみます。
■なぜ「肉まん」ではなく「豚まん」なのか？
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お肉と言えば牛肉を指すのが関西、京阪神の常識。例えば、肉まんは関東の場合、牛肉でも豚肉でも肉が入っていれば「肉まん」、関西の場合は牛肉が入っているなら「肉まん」ですが、豚肉の場合は「豚まん」と言わなければならないのです。（P.41）
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→私は東京生まれですが、確かに「肉まん」は「肉まん」。なんで「豚まん」なんだろう？と疑問に思っていました。牛肉の消費量は、和歌山・京都・奈良・大阪の順で圧倒的に関西が多いのですね。熊野牛・神戸牛など牛の産地に恵まれているから、という理由もうなずけます。そのため、関西で肉といえば牛肉。豚肉は牛肉ではないから、きちんと区別して「豚まん」と呼ぶようになったそうです。なるほど。
■たこ焼きの元祖は明石焼き
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関西と言えば「たこ焼き」が有名ですが、その元祖が160年の歴史を持つ兵庫県明石市のご当地グルメ「明石焼き」なのはご存じでしょうか？（P.73）
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→本書では明石焼きとたこ焼きの歴史的なつながりについては詳説されていないのですが、Wikipedia等で調べてみますと、
◎江戸時代の終わり頃から、明石市の郷土料理として小麦粉・タコを主な材料に、丸く焼いてだし汁につけて食べるのが明石焼き（現地では玉子焼きと呼ぶそう）
◎明治・大正の頃、子どものおやつとしてたこ焼きの原型となる「ラヂオ焼き」があった。
◎昭和8年、大阪でラヂオ焼きに牛スジ肉を入れて販売を始め、昭和10年には明石焼きの具を真似て、ラヂオ焼きの中にタコを入れて「たこ焼き」を完成させた。
上記の3段階がたこ焼き登場までのルーツのようです。
ちなみにたこ焼きを昭和10年に開発した遠藤留吉さんのお店は、現存していました。会津屋さんです。大阪だけでなく、東京にも出店されていますね。
http://www.aiduya.com/
■京阪神の鉄道沿線ヒエラルキー
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京阪神に路線を持つ阪急電鉄は、沿線開発とセットで鉄道を建設してきました。阪急の創始者の小林一三（いちぞう）が大阪と宝塚を結ぶ鉄道をつくり、これだけでは収益が出ないので、動物園や宝塚歌劇団をつくり集客した上で沿線を住宅開発していきました。阪急は百貨店とともに高級なイメージが特徴です。そのため沿線は高級住宅地になり阪神間での成功者が憧れるまちになりました。
京阪神の鉄道沿線ヒエラルキーでは阪急＞京阪＞JR・阪神＞近鉄・南海とも言われます。関西の中では、阪急が最も上流、次いで京阪が通っていれば京阪。阪神間は3本走っていますが、最も上流なのは阪急で次にJR、最後は阪神になります。（P.128）
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→首都圏においては、JR・私鉄、総じてそれほど格差というものを感じないのですが、関西圏においては上記の順位付けは実際にあるようです。なんとなく分かるような気がします。
■エスカレーターは大阪が世界基準
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エスカレーターに乗る際、東京では左側に立ち、急ぐ人は右側を歩きます。しかし、大阪では逆に右に立ち、急ぐ人は左を歩きます。どうして、こうなってしまったのでしょうか？
歴史を紐解くと、1967年に阪急電鉄の梅田駅が新たなターミナルとなった際に長い距離のエスカレーターを導入。ところが、あまりにも歩く人が多かったのです。なんと言っても、大阪人は「いらち」ですから、じっと立っている人が少ないのです。そこで、阪急ではパリやロンドンと同じように、「急いで歩く人は左側を、立ち止まっている人は右側に寄るように」とアナウンスしたのが、大阪方式の始まりと言われています。
ところが、東京では、「人は右、車は左（※）」にならって、逆にしてしまったのです。つまり、大阪方式が世界標準、東京方式はローカルルールなのです。（P.132）
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（※「車は左側通行、人は右側通行」は道路交通法で定められている）
→確かに、関西に行くとエスカレーターでは右に立ちますね。ただしJRの京都駅など外から来る観光客が多い場面では左側に立つケースも少なくないようには思います。あくまで地元の人が多い場面では右に立つ、ということでしょう。これ、関西圏を越えて、広島、福岡あたりに行くと東京と同じように左側に立つのですが、面白い現象です。
ということで、気になった3点を取り上げてみました。
出典は・・・
「ありえへん京阪神～それでも愛される、京都・大阪・神戸の“けったい”な面々」
矢野新一・著、ワニブックスPLUS新書
